環境負荷低減技術
排気処理技術による環境負荷低減
自動車塗装をはじめとしたさまざまな分野で使用されている揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)は、光化学スモッグなどをもたらす主要な原因物質であり、近年、その排出削減が大きなテーマとなっています。
当社では、自動車塗装の分野で開発したVOC処理技術をベースに、熱回収率が高く、省エネルギー性の高い蓄熱式直接燃焼処理装置(RTO:Regenerative Thermal Oxidizer)の開発を、長年にわたって進めてきました。高温で酸化分解するため、ほとんどのVOCを分解でき、95%以上の高い熱回収率が得られるうえに、VOC濃度が高ければ溶剤の燃焼熱だけで高温状態を維持する自燃運転が可能という特長があります。
切替式では421台以上、回転式では95台以上の累計納入実績があり、幅広いラインアップを取り揃えています。
RTOラインアップ
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切替式(2塔式)
運転時の熱回収率が95%以上と高く、使用エネルギーを最小に抑えることが可能。
●VOC処理効率98%以上
●省スペース・省コスト
2つの蓄熱塔で蓄熱・放熱を繰り返し、効率良くVOCを酸化分解します。 -
回転式
ロータリーバルブの導入で未処理排ガスの排出と悪臭をなくし、VOC処理効率をさらにアップ。
●VOC処理効率99%以上
●排気ダクトの圧力変動の低減
未処理ガスはロータリーバルブ入口から燃焼室に導入され、完全に分解されます。
3塔式RTOで中国における環境負荷低減に貢献
近年、中国では環境意識の急速な高まりに伴い、環境規制強化もかなりのスピードで進んでおり、環境を取り扱う政府や地方政府の関連機関による取り締まりが本格化しています。
また、中国の大気汚染に関する排出基準は、総量規制や常時モニタリングが取り入れられているエリアもあり、日本よりも厳しい基準が採用されているケースも少なくありません。
このような状況の中、当社の3塔式RTO(蓄熱式直接燃焼脱臭装置)が、高いVOC除去効率と、省エネ性で評価され、日系企業を中心に導入事例が増加しています。
3塔式RTOは、従来の2塔式と比べ、3塔の内1塔をパージセクションにとり、未処理ガスをRTOに戻すことができることから、大気へガスの直接放出を防止し、VOC処理効率99%以上達成を可能にしています。
RTOの省エネをはかりながら、総合処理効率99%以上を達成
お客さまによっては、大風量・低濃度のガスを処理したいとの要望もあり、その場合は解決策として、3塔式RTOの前に、2段濃縮ローターを設置、ガスを吸着し小風量・高濃度ガスにした後に処理を行うシステムも提案しています。このシステムにより、RTOの省エネをはかりながら、総合処理効率で99%以上を達成することが可能で、こちらも中国で導入事例が増えています。
当社は中国全土で122台以上のVOC排気処理装置の実績があり、かつ現地での生産・調達体制も整えたことで、日本とほぼ同じレベルの製品を競争力のある価格で提供することが可能です。
メンテナンス体制を強化
納入台数の増加に伴い、さらなる展開に向けた体制を充実させており、迅速な対応が可能となりました。
今後も当社は、日系企業をはじめ多くの企業に、中国の環境規制の事例やアドバイスなどを提供していくほか、中国の関係機関に対しても、大気汚染対策の技術PRを強化し、中国における環境負荷低減に、より一層貢献していきます。
また将来的には、中国のみならず東南アジアやインドへも積極的に展開していきます。
リチウムイオン電池製造工程における環境負荷低減
環境にやさしい車として昨今、とりわけ中国や欧米諸国などで急速に普及、拡大し始めているEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)。このエネルギー源として主流となっているのが「リチウムイオン二次電池」です。リチウムイオン二次電池の製造には溶剤としてNMP(N-Methyl-2-Pyrrolidone)が不可欠な存在であり、製造工程からは大量のNMPを含むガスが排出されます。
当社は、そのNMPを含むガスからNMPを回収する「NMP回収装置」で豊富な実績があり、多くの電池メーカーで当社のシステムが採用されています。