低炭素化への取り組み

環境システム事業

お客さまの空調・衛生設備などの運用段階における温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。

中期・長期目標の達成へ向けて

環境システム事業では、当社が設計・施工したプロジェクトの運用段階における原単位CO2排出量を、2030年度までに2013年度比25%削減することを目指しています。当社がすでに保有している省エネルギー技術や、開発中の省エネルギー技術をお客さまに積極的に提案し、CO2排出量の削減を進めています。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けては、抜本的な対策が必要であると考えており、空調負荷低減や再生可能エネルギー由来の電力利用に加え、CO2分離回収技術や水素などへのエネルギー転換に対応する技術の開発に取り組んでいます。
2024年7月には、神奈川県愛甲郡愛川町にある技術開発センターをリニューアルし、「TAIKISHA INNOVATION SITE AIkawa」として稼働を開始しました。低炭素化に寄与する研究開発、検証実験、シミュレーションなどを推進していきます。

環境配慮設計

環境システム事業では、環境配慮設計推進の一環として、お客さまが保有する設備の省エネルギー化を実現する提案を行っています。省エネルギー提案は、「現状を把握する省エネルギー診断」、「将来構想を踏まえた詳細提案」、「省エネルギー提案を取り入れた設計・施工」、「運用段階の効果検証」のサイクルを繰り返し行います。
2021年10月に閣議決定された、地球温暖化対策計画による2030年度の温室効果ガス排出量削減目標(2013年度比46%減)に貢献するため、シミュレーションにもとづく「熱源最適制御システム」を独自に開発し、時々刻々と変化する外部条件に応じた最適な運転制御により、熱源システムのエネルギー削減量を最大化し、CO2排出量削減、ランニングコスト低減に貢献します。
さらに、空調設備にAIやIoTの技術進化を取り入れ、生産装置の稼働状況・人員・室内環境に追従して空調を制御するクリーンルームシステムや、室圧制御システム・低露点システムの省エネルギー技術の開発を進めています。
当社が得意とする海外プロジェクトにおいては、設計・施工範囲に電気設備も含まれることが多く、太陽光発電など創エネルギー提案も積極的に行っています。
2023年度の省エネルギー提案件数は134件、CO2削減量は48,946t-CO2/年、スコープ3カテゴリ11に相当するCO2削減量は約73万t-CO2 (連結ベース)でした。

目標
自社の設計プロジェクトにおけるCO2削減率(当社の提案によりお客さまが保有している設備から排出されるCO2排出量の削減率):加重平均25%以上
実績
15.6%

塗装システム事業

自動車などの塗装工程での温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。

中期・長期目標の達成へ向けて

塗装システム事業では、自動車塗装ラインのエネルギー試算モデルをもとに自動車塗装1台当たりのCO2排出量を試算し、2030年には40kg-CO2/台を目指しています。自動車塗装工程におけるカーボンニュートラルの実現に向け、技術革新の3本の柱を設定し、さまざまな自動車メーカーのお客さまと連携して技術開発を進めています。

開発した技術をタイムリーにお客さまへ提供するため、グローバルでの連携を強化し、効率化の観点からCAE(Computer Aided Engineering)技術を活用しています。

カーボンニュートラルへの取り組み達成度と今後の目標値

当社が提案する技術によるCO2削減効果を可視化する目的で、2000年より自動車塗装ラインのエネルギー試算モデルをもとに自動車塗装1台当たりのCO2排出量を試算し、客観的に評価しています。
2005年の試算モデルにおけるCO2排出量は160.1kg-CO2/台でしたが、これまでにヒートポンプ技術や高効率機器の導入、ドライ式塗装ブースなど、CO2削減に寄与するさまざまな技術提案を行ってきました。2020年以降は技術革新の第一の柱に準拠した製品として、少風量ブースや、VOC処理機能付き間接炉などの開発・改良の提案を行っています。近年では、AI技術を活用した生産状態の可視化システムと生産状態の解析システムにより、さらなるCO2排出量の削減を推進しています。
これらの取り組みの結果、2023年度の試算モデルでは60kg-CO2/台を達成しました。 今後も3本の柱に沿って、塗装設備の再生エネルギー電気利用(オール電化)、水素エネルギーの利用、フィルム加飾システムの技術提案など推進していきます。
また、これまでは2050年にCO2排出量の実質ゼロ化の達成を目標としていましたが、目標年度を前倒し、2035年でのCO2排出量の実質ゼロ化を目指します。この2035年の実質ゼロに必要な条件としては、供給電源の再生可能エネルギー化を含みます。また、2035年へ向けてはバックキャストし、2025年に50kg-CO2/台、2030年に40kg-CO2/台の達成を目標として設定しています。