低炭素化への取り組み

環境システム事業

お客さまの空調・衛生設備などの運用段階における温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。

環境配慮設計

省エネルギー提案

環境システム事業では、環境配慮設計推進の一環として、お客さま保有設備の省エネルギー化(環境負荷の低減)を実現する提案活動を行っています。省エネルギー提案は、「現状を把握する省エネ診断」「将来構想を踏まえた詳細提案」、「設計・施工」、「運用段階の効果検証」 のサイクルを繰り返し行います。
2021年10月に閣議決定された地球温暖化対策計画による2030年度のエネルギー起源CO2排出量目標(2013年度比45%減)に貢献するため、シミュレーションにもとづく「熱源最適制御システム」を独自に開発、時々刻々と変化する外部条件に応じた最適な運転制御により、熱源システムの省エネルギー量を最大化し、CO2排出量削減、ランニングコスト低減に貢献します。さらに、工場・ビルの空調設備もAIやIoTなどの先進技術を取り入れ、生産装置の稼働状況・人員・室内環境に追従して空調を制御するクリーンルームシステムや、室圧制御システム、除湿(ドライルーム)システムの省エネルギー技術の開発を進めています。当社が得意とする海外プロジェクトにおいては、設計・施工範囲に電気設備も含まれることが多く、太陽光発電など創エネ提案も積極的に行っています。
当社の提案によって、お客さまが保有する設備から排出されるCO2量の削減割合を、CO2削減率としています。直近9年間のCO2削減率の推移を図に示します。2022年度は、自社設計プロジェクトにおけるCO2削減率の目標値を加重平均25%以上と定め活動したところ、実績は23.2%となりました(事業年度別のCO2削減率は、提案対象の直近実績を比較基準としています)。2022年度の活動は、提案件数および提案CO2削減量ともに過去9年間の中で最も高い数値となりました。スコープ3のカテゴリー11に相当するCO2削減提案量は、約102万tCO2(15年間の運用効果)となります。(国内連結対象会社・海外拠点を含む)

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CO2削減提案量
1,000t/年 未満 1,000t/年 以上
発生基準量
5,000t/年 未満 13,065 6,557 19,622
24.4% 59.1% 30.4%
5,000t/年 以上 2,013 26,082 28,095
5.4% 25.1% 19.9%
基準特定なし 4,105 15,949 20,054
19,183 48,588 67,771

中期・長期計画の目標値へ向けて

2030年の中期計画目標値を達成するために、現状当社が保有しているさまざまな省エネルギー技術、さらには、現在開発中の省エネルギー技術を用いて、目標値達成を目指していきます。
2030年以降は2050年のカーボンニュートラルに向けて抜本的な対策が必要になり、空調負荷低減、省エネ技術導入に加えて、再生可能エネルギー由来の電力利用あるいは燃焼エネルギーの転換対応などに取り組んでいきます。
2022年2月、当社技術開発センターにおいて、研究棟の建替工事が着工しました。完成後は実験の検証とともにシミュレーション技術を駆使し、効率的な開発を目指すことのできる研究施設となります。また、施設の建物自体としては、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)・BELS_☆☆☆☆☆およびウェルネスオフィス_ランクSを目指していきます。

新室圧制御の開発

医薬品製造工場における空調搬送動力の低減が可能な「新室圧制御システム」を開発し、非作業モード運転時における空調エネルギー・ランニングコストの低減、CO2排出量削減に寄与します。

CO2分離活用技術の開発

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、省エネや環境負荷の少ない設備導入などに取り組んでいますが、脱炭素化できない領域に対しては、CO2分離活用技術CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)の導入が不可欠であり、大気中のCO2をターゲットとしたDAC(Direct Air Capture)の開発を行い、吸脱着技術を利用したCO2濃縮回収・供給装置の開発を進めています。

塗装システム事業

自動車などの塗装工程での温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。

当社のカーボンニュートラルへの取り組み戦略と今後の方針

世界中の自動車メーカー各社の高い環境目標に沿い、当社は早くからCO2排出量の削減技術の検討と展開を進めてきました。さまざまな自動車メーカーのお客さまからダイレクトに技術ニーズや改善テーマをお受けし、必要に応じて共同開発も行いながら、CO2削減技術の開発や提案を実施できる立ち位置にあることが、当社にとって大きな強みです。
今後のカーボンニュートラル戦略としては、自動車メーカー各社の基本戦略に歩調を合わせ、おおむね2030年までは「現行の低CO2生産技術」を磨き、そこから2050年に向けては「再エネと水素利用による削減」を想定していると同時に、生産技術の変化といった技術革新の開発にも取り組んでいきます。具体的には、以下3つの柱を設定しています。

カーボンニュートラルへの取り組み達成度と今後の目標値

当社の提案技術に対するCO2削減効果を見える化する目的で、2000年より、自動車塗装ラインのエネルギー試算モデルをもとに自動車塗装1台当たりのCO2排出量を試算し、客観的な評価とCO2削減技術を提案しています。
2005年の試算モデルでは160.1kg-CO2であったCO2排出量ですが、2020年までには、ヒートポンプ技術や高効率機器の導入、ドライ式塗装ブースやその他のさまざまなCO2削減技術提案をはじめ、2020年以降は、カーボンニュートラル方針の第1の柱である、保有技術のアップグレードによる「改良改善ベース」の商品にて、(i-LAVB)少風量ブース、(i-VACH)VOC処理機能付き間接炉などの提案を実施し、2021年には64.5kg-CO2/台を実現してきました。
2022年度は、さらに従来からの保有技術の見直しを図り、塗装工程における乾燥炉の断熱性能の向上、作業場空調の排気リサイクルの向上、乾燥炉クーリング装置のカスケードシステムの技術提案により、塗装工場全体のCO2排出量としては63kg-CO2の技術提案を達成しました。
今後のCO2排出量の提案技術としては、カーボンニュートラル方針の3本の柱に沿って進め、塗装設備の再生エネルギー電気利用(ALL電化)、水素エネルギーの利用、フィルム加飾システムの技術提案など推進し、排出目標としては、2025年度には50kg-CO2、2030年には40kg-CO2、最終的には2050年のCO2排出の実質ゼロを前倒しするべく、技術提案を進めていきます。