低炭素化への取り組み
環境システム事業
お客さまの空調・衛生設備などの運用段階における温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。
環境配慮設計
環境システム事業では、環境負荷を低減し持続可能な未来を実現するための取り組みを推進しています。特に、省エネルギー化を中心とした環境配慮設計を通じて、お客さまの設備の効率化を図り、CO2排出量の削減に貢献しています。
環境配慮設計は、まず現状を把握する省エネルギー診断から開始します。現行設備のエネルギー使用状況を詳細に分析し、ムダを見つけ出します。その後、お客さまの将来構想を踏まえ、具体的な省エネルギー対策を提案します。この提案には、シミュレーションデータに基づく「熱源最適制御システム」の導入も含んでおり、外部条件に応じた最適な運転制御を実現します。熱源システムの省エネルギーを最大化し、CO2排出量削減とランニングコストの低減を図ります。
設計・施工段階では、省エネルギー提案を取り入れ、最新のAIやIoT技術を活用し、工場やビルの空調設備の効率化を図ります。具体的には、生産装置の稼働状況や人員、室内環境に追従して空調制御を行うクリーンルームシステムや、室圧制御システム、低露点システムなどの省エネルギー技術を導入しています。これにより、エネルギー消費を最小限に抑えながら、最適な室内環境を維持することができます。
運用段階では「運用段階の効果検証」を行い、導入した省エネルギー対策の効果を評価します。このサイクルを繰り返すことで、継続的な改善を図り、さらなる省エネルギー化を推進しています。
環境配慮設計は、国内だけでなく海外プロジェクトにおいても積極的に取り組んでいます。特に、設計・施工範囲に電気設備を含むプロジェクトでは、太陽光発電などの創エネルギー提案も行い、再生可能エネルギーの利用を推進しています。これにより、地域ごとのエネルギー需要に応じた最適なエネルギー供給を実現し、グローバルな規模でのCO₂削減に貢献しています。
CO2排出量計算の精緻化にも取り組んでおり、各プロジェクトでの実際の削減効果をより正確に把握し、今後の改善策に反映させることが可能となります。当社の提案によって、お客さま保有の設備から排出されるCO2排出量の削減割合を、CO2削減率として年度ごとに評価しています。2024年度は、提案件数が150件、提案CO2削減量は54,438t-CO2/年に達しました。自社の設計プロジェクトにおけるCO2削減率の目標値を加重平均25%以上と定めており、その実績は20.9%となりました。スコープ3のカテゴリー11に相当するCO2削減提案量は、約82万t-CO2(15年間の運用効果)に達しています。
環境システム事業は、これからも環境配慮設計の推進を通じて、お客さまの設備の省エネルギー化と環境負荷の低減に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
- 目標
- 自社の設計プロジェクトにおけるCO2削減率(当社の提案によりお客さまが保有している設備から排出されるCO2排出量の削減率):加重平均25%以上
- 実績
- 20.9%
塗装システム事業
自動車などの塗装工程での温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。
カーボンニュートラルへの取り組み達成度と今後の目標値
塗装システム事業では、当社が提案する技術によるCO2削減効果を可視化する目的で、2000年より自動車塗装ラインのエネルギー試算モデルをもとに自動車塗装1台当たりのCO2排出量を試算し、客観的に評価しています。
これまで、ヒートポンプ技術や高効率機器の導入、ドライ式塗装ブースなど、CO2排出量削減に貢献するさまざまな技術提案を行ってきました。2020年以降は、自動車塗装工程におけるカーボンニュートラルの実現を目指し、技術革新の基本方針として「3本の柱」を掲げ、技術開発を進めています。
第一の柱に基づき、無駄のない効率的な生産工程を実現するため、塗装の高塗着化や、塗装ブースの少風量化、VOC処理機能付き間接炉などの開発・改良の提案を行っています。加えて、AI技術を活用した生産状態の解析システムを用いて生産ロスの極小化を目指し、さらなるCO2排出量の削減を推進しています。
これらの取り組みの結果、2005年の試算モデルにおけるCO2排出量は160.1kg-CO2/台でしたが、2024年度には51.4kg-CO2/台まで削減することができました。
また、第二の柱に基づく取り組みとして、塗装設備の再生エネルギー電気の利用(オール電化)や水素エネルギーの利用を推進しています。第三の柱である塗装代替技術の開発にも取り組み、フィルム加飾システムの技術開発などを推進しています。
2050年のCO2排出量実質ゼロ化という世界的な目標に先駆け、目標年度を前倒し、2035年までにCO2排出量の実質ゼロ化を目指しています。この目標には、供給電源の再生可能エネルギー化も含まれます。そして2035年からバックキャストし、2025年には50kg-CO2/台、2030年には40kg-CO2/台の達成を目標としています。