ドライ加飾システムのデモライン完成
~次世代の生産技術を体感し、実用化に向けた検証が可能に~
- リリース
- 2024.11.29
株式会社大気社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:長田 雅士)は、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして、自動車外装などを、従来の塗料を用いたスプレー塗装(ウェット塗装)に代わり、フィルム貼合により加飾するドライ加飾システムの開発に取り組んできましたが、その革新性を体感いただくためのデモラインが、このたび神奈川県座間市の自社研究開発施設内に完成しましたのでお知らせいたします。
デモライン設置の背景
世界規模でのカーボンニュートラルへのシフトや、EVの登場に伴う生産プロセスの変化を背景に、自動車業界は大変革期を迎えています。
従来の、スプレーによる自動車塗装(ウェット塗装)では、電着塗装、中塗り、上塗りと塗装を繰り返し、そのたびに塗装ブースで大風量にて換気を行い、乾燥炉で大きな熱量を用いて急加熱、さらに次工程作業のために急冷却を行うことから、塗装工程におけるエネルギーの使用量は、自動車の生産プロセスの中で最大となっていました。そのため、当社は長年、自動車メーカー様との連携により、CO2排出量の低減に寄与する塗装設備の開発・改良に取り組んできました。
一方で、中長期的な視点では、既存の生産技術とは抜本的に異なる次世代の生産技術の模索も進めており、その一例として、フィルムを真空圧空成形技術によって貼り付ける「ドライ加飾システム」に着目し、開発を進めてきました。当システムの特長として、従来の塗料を使用した塗装に比べると50%以上のエネルギー削減を達成していることに加え、フィルムの多機能化によりウェット塗装では出し得ないあらゆる色彩や質感が表現できることがあげられます。また、EVの登場に伴う新たな生産プロセス「アンボックスト・プロセス」(部品をまとまった単位で別々に造った後、1台の車両に組み立てる手法)にも親和性が高く、自動車メーカー様からも高い関心が寄せられています。
こうした中、クリーンでコンパクトなドライ加飾システムの革新性をお客さまに体感いただき、実生産ラインへの導入に向けた実証の場とすべく、このたび塗装システム事業の研究開発施設であるテクニカルセンター(神奈川県座間市)に、量産ラインを想定したデモラインを構築しました。
ドライ加飾とは
ドライ加飾とは、塗膜がすでに形成されたフィルムを、真空圧空成形で基材にシワなく貼合する技術で、これまでのウェット塗装とはまったく異なる塗装・加飾プロセスのひとつです。
従来、ドライ加飾技術には、凹凸がある複雑な立体形状へは貼合が難しい、フィルムの延伸率の違いによって色味に違いが生じてしまうといった課題がありましたが、3次元真空圧空成形(TOM)工法に改良を加え、貼り付け前のフィルムを、基材の形状に合わせた自動変形クランプ機構と、真空・加熱・加圧などの各工程を緻密に制御することで、解決を図っています。
ドライ加飾システムでは、従来のスプレー塗装で必要とされていた塗装ブースや乾燥炉、排水・排気処理装置が不要で、エネルギー使用量を50%以上削減することができます。被塗物基材やフィルム基材のリサイクルなど、サーキュラーエコノミーの取り組みと合わせることで、さらなるエネルギー使用量の削減が期待できます。
デモラインの構成
今回設置したデモラインは、バンパーやエンジンフードの生産を想定し、フィルム貼合、フィルム硬化、トリミング、端材回収といったプロセスから成り立っています。
今後に向けて
今後、本デモラインを活用したお客さまによるテストを通して、製品化に向けた装置の精度向上や、お客さまの工場への実導入に向けた運用・品質面の検証を進め、自動車メーカー様の生産ラインへの早期採用を目指します。当社は今後も、塗装代替としてのドライ加飾システムのさらなる改良を継続して、カーボンニュートラルの実現、塗装・加飾を必要とされるあらゆるお客さまの新しい価値創出に貢献してまいります。
本件に関する報道機関からのお問い合わせ先 | 株式会社大気社 経営企画本部 広報課 TEL:03-5338-5052 FAX:03-5338-5195 E-mail: mailmast@taikisha.co.jp |
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