大気社、ウシオ電機とともに東京都立大学の「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」の研究開発へ参画

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  • 2024.02.08

株式会社大気社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:長田 雅士、以下、大気社)は、このたび、ウシオ電機株式会社(以下、ウシオ電機)とともに、東京都立大学が取り組む、大気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(以下、DAC)」の共同研究開発に参画し、大気中のCO2を高効率で回収し、植物工場などに利用できるDAC装置の開発を開始しましたのでお知らせいたします。

IPCC※1からの指摘にもあるように、気候変動の要因の1つとして、地下から石炭、石油、天然ガスといった炭素を掘り起こすことで発生する大気中のCO2濃度の上昇があげられています。2050年のカーボンニュートラルに向けて地下からの炭素に依存しない社会基盤や技術開発が進められる一方、完全にCO2の放出量をゼロにするために、大気中のCO2を直接回収、利用する技術であるDACが提案されています。大気中の低濃度のCO2(400ppm)を回収するこの技術は、効率・コストの面で改善の余地があり、現在、高効率な材料やシステムが望まれています。

そのような中、東京都立大学大学院理学研究科化学専攻 山添 誠司教授らの研究グループは、既存技術を大きく凌駕(りょうが)する、非常に高いCO2の吸収特性を持つ材料として、「イソホロンジアミン」がDACにとって理想的な物質であることを明らかにしました。※2

このイソホロンジアミンをヒントにウシオ電機が開発したCO2の吸収の効率化を支援する吸収材と、同社のCO2の脱離の省エネ化を実現するための集光・集熱技術に、大気社が保有する高効率ガス循環・熱交換システムの技術を融合させ、従来よりも高い効率でCO2を回収できるDACの装置化に取り組みます。

DAC装置で回収したCO2は、植物工場やハウス栽培での利用、農作物や藻工場などの育成促進にも応用できるほか、燃料や化学品の合成に活用することも可能です。
大気社および東京都立大学、ウシオ電機の3者は、大気中のCO2をさまざまなものに変換してネットゼロ・エミッションの世界を作ることを「SkyCarbon®(スカイカーボン)構想」と名付けています。「SkyCarbon®構想」の実現に向けて、まずは大気社グループが保有する植物工場にDAC装置の実装、研究開発や実証実験を開始し、2030年までの社会実装を目指します。

図1:植物工場へのDAC装置の実装


図2:SkyCarbon®構想イメージ図
大気中の二酸化炭素を回収して身近で有用なものに変換し、カーボンニュートラル、大気中のカーボンネガティブに貢献する構想

大気社は、中期経営計画(2022~2024年度)の基本方針のひとつに「新たな価値創出への挑戦」を掲げ、新たな事業領域としてDACの植物育成への利用を含むCO2回収・利活用の検討を進めてきたところですが、今回のウシオ電機や東京都立大学との共同研究開発を通し、新たな価値創出への挑戦をさらに加速してまいります。

  • 1
    Intergovernmental Panel on Climate Changeの略。日本語では「気候変動に関する政府間パネル」と呼ばれ、 1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立された政府間組織のこと。
  • 2
    S. Kikkawa, K. Amamoto, Y. Fujiki, J. Hirayama, G. Kato, H. Miura, T. Shishido, S. Yamazoe Direct Air Capture of CO₂ Using a Liquid Amine-Solid Carbamic Acid Phase-Separation System Using Diamines Bearing an Aminocyclohexyl Group , ACS Environ. Au, 2, 354-362 (2022).
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