当社グループTKS Industrial Companyと日本ペイント・オートモーティブコーティングスとの共同発表が自動車塗装技術国際会議「第6回SURCAR 2023 in Detroit」にてJury's Awardを受賞

~高さ700mm以上の曲率の大きい一体型バンパーにも対応できる、ドライ加飾技術が高く評価~

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  • 2023.08.17

株式会社大気社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:長田 雅士)のグループ企業であるTKS Industrial Company(本社:アメリカミシガン州トロイ、PRESIDENT:Robert Booth III)は、2023年6月21日~22日デトロイトにて開催された、塗装業界で最も権威のある国際カンファレンス、自動車塗装技術国際会議「第6回SURCAR 2023 in Detroit」にて、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社(本社:大阪府枚方市、代表取締役社長:西村 智志)と共同で「ドライ加飾技術:自動車製造における新世代コーティングメソッド(Dry Film Coating:New Generation Coating Method in Automotive Manufacturing)」を発表し、審査員投票で最も評価された発表に贈られるJury’s Awardを受賞しました。発表は、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社の岩越あや子氏とTKS Industrial CompanyのJoel Campbellが行いました。

ドライ加飾技術は、フィルムの加飾貼合技術を用いることにより、従来の塗装工程がなくなるため、温室効果ガス(GHG)の排出削減を実現できますが、加飾できる被塗物の大きさが限られていることや、複雑な形状へ、色味の変化を抑え、シワなく貼合することが課題となっていました。

今回の発表では、高さ700mm以上の曲率の大きい一体型バンパーにも、フィルム延伸率を100%以下に制御することで、シワなく色味の変化を抑えたドライ加飾を実現した点を高く評価され、Jury’s Awardを受賞いたしました。

自動車塗装技術国際会議「SURCAR」とは

「自動車の塗装の仕上げ」に特化した技術をテーマとし、世界および地域の自動車産業、サプライヤーのリーダーが集まり、最新の技術の発表を通じて意見交換が行われる国際カンファレンスです。
このカンファレンスは、毎年アメリカ(デトロイト)、ヨーロッパ(カンヌ)、アジア(上海)の3か所で行われています。
会議プログラムは、基調講演、専門家によるプレゼンテーション、パネルディスカッション、ネットワーキングセッションなどで構成されており、表面処理の専門家からなる国際技術委員会の協力のもと、塗料や設備の革新、新しいクリーン技術、表面処理の開発、設備、材料、プロセスのフィードバックとベンチマーク、さらには環境問題への対応や持続可能性などにまで焦点を当て、議論されています。

Jury’s Awardについて

Jury’s Awardは、審査員投票で選ばれるInnovation Award、Technique Award、Jury’s Awardのうち、最も評価された発表に贈られる賞です。
全15テーマのプレゼンテーションの中から1組のみの受賞となります。
今回、「ドライ加飾技術:自動車製造における新世代コーティングメソッド(Dry Film Coating:New Generation Coating Method in Automotive Manufacturing)」では、曲率の大きい複雑な形状の自動車の一体型バンパーに、シワなく、色味の変化を抑えたドライ加飾を実現した点が高く評価され、受賞にいたりました。

「ドライ加飾技術」とは

  • 従来のスプレー塗装(ウェット塗装)に代わり、フィルムを真空吸引・加熱によって貼り付けることで、自動車外装などをフィルム加飾(ドライ加飾)する技術です。
    加飾フィルムならではの模様・柄・照光などの意匠性の拡大や、機能性(太陽電池・遮熱等)の付加も可能です。

加飾フィルム真空成形装置

  • 従来のウェット塗装では通常、電着塗装、中塗り、上塗りと塗装を繰り返します。そうした重ね塗りの過程で塗装と乾燥を繰り返すウェット塗装に対し、高被覆率のフィルム加飾(ドライ加飾)では、従来の塗料を使用した塗装に比べて、加工工場での直接排出(Scope1,2)部分で大幅に使用エネルギーを抑えることができ、50%以上の削減を達成しています。今後さらに、加工工場の上流・下流(Scope3)部分で被塗物基材やフィルム基材のリサイクルなどの工程革新が実現することにより、さらなるCO2排出量の削減効果が期待できます。
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    被覆率:被覆対象の表面積/使用するフィルムの面積(%)
  • ドライ加飾技術による温室効果ガス(GHG)排出削減効果

    曲率の大きい一体型バンパーにも、シワなく、色味の変化を抑えたドライ加飾を実現

    従来のドライ加飾技術の課題であった、凹凸がある複雑な立体形状へも、3次元真空圧空成形(TOM)工法を採用することにより、シワなく、低延伸で、3次元にフィルムを加飾(貼付け)することを実現しました。

    3次元真空圧空成形(TOM)工法とは、布施真空株式会社(本社:大阪府羽曳野市、代表取締役社長:矢葺 勉)が世界で初めて開発した、凹凸がある立体形状に3次元にフィルムを加飾(貼付け)することができる、フィルム加飾貼合技術です。

    これまでTOM工法を行う装置は、高さ200mm以下の被塗物にしかフィルムを貼合することができませんでしたが、今回、大気社は、布施真空株式会社と共同でバンパー専用の装置を開発し、高さ700mm以上の、曲率の大きい一体型バンパーへも、TOM工法によるフィルム貼合を可能にしました。

    このことにより、乗用車の一体型バンパーのような、大きく凹凸のある複雑な立体形状へも、低延伸(フィルム延伸率100%以下)でのフィルム貼合ができるようになり、色味の変化を抑えた、シワのないドライ加飾が可能となりました。

    トライアル結果

    日本ペイント・オートモーティブコーティングスのシルバーメタリックフィルムをバンパーに加飾しています。
    複雑な3D形状に適応が可能です。分割パーツ、一体型パーツのどちらでもコーティングできます。

    今後の事業展開

    ドライ加飾プロセスの確立に向けて、現在、バンパーを事例にさまざまな側面から検証を行っており、近く、自社研究施設内に、量産ラインを想定したドライ加飾システムのデモラインの構築も計画しています。当社では、今後とも、脱炭素社会の実現に貢献でき、自動車外装のさらなる付加価値提供技術となる、ドライ加飾の技術開発に注力してまいります。

    本件に関する報道機関からの
    お問い合わせ先
    株式会社大気社 経営企画本部 広報課
    TEL:03-5338-5052  FAX:03-5338-5195
    E-mail: mailmast@taikisha.co.jp