熱源最適化制御システム

熱源機器制御・最適運転技術

大気社の技術

熱源機器制御・最適運転技術とは?

多様な熱源機器や補機類を組み合わせた熱源群を、変動する外気や室内負荷に追従しながらシステム全体を省エネ最適に運転することができる制御技術です。

こんな課題を解決できます

  • CO2の削減・エネルギー効率を高めたい

概要

熱源システムの省エネ効果を最大化する制御システム

熱源システムの省エネ効果を最大化する運転設定は、外気や負荷条件により異なります。機器の性能向上や制御技術の進歩により、設定すべきパラメーターも複雑になっています。時々刻々と変化する外部条件に対して設定値を手動設定し、設備全体を最適に省エネ運転することは非常に困難です。

熱源最適制御システムは、リアルタイムで設定値を算出、設定することで、設備全体として最適な省エネルギー運転を実現します。

特長

  • 最適制御を実現

    熱源シミュレータ「HSSsim」による最適化計算結果をもとに、刻々と変化する外部条件に対して各設定値を最適化する最適制御を行い、消費エネルギーを最小化します。

  • 各種制御モードによる、安定運転と高い安全性の実現

    PLCはパソコンのシステムダウンやフリーズにより制御機能が停止していないかを常時監視しています。
    パソコン停止時は、自動的にPLCの単独運転(PLCモード)に切り替え、制御を継続します。また、PLCモードへの切替はマニュアル操作でも可能です。この機能により、高い安全性を確保するとともに、最適制御テーブルの更新、パソコンの保守などの作業を設備を停止させることなく実施できます。

  • 省エネ量のリアルタイム表示

    比較システムに対する省エネ量をリアルタイムで表示できます。
    (比較システム:定格運転など従来からの制御方式)

  • 負荷立上り時運転モードによる安定運転の実現

    夏季の午前中など、負荷上昇速度が早い場合には、0~60分程度先の負荷予測値を考慮した台数制御を行います。これにより負荷追従性を向上させています。

  • 監視機能

    PLCに取込まれる測定値、警報などを一覧できる画面を持ちます。

  • 二次側冷水温度を含めた最適制御の検討

    一次側熱源の最適制御に加えて、二次側冷水温度を含めた最適制御の検討を行うための補助ソフトが用意されています。
    補助ソフトにより、二次側を含む複雑な入力条件を、シミュレータに簡便にインプットすることが可能です。
    また、二次側冷水を含めた計算で得られる大量の出力結果を整理し、グラフ化する機能も備えています。 補助ソフトにより熱源シミュレータの操作性は向上し、詳細な設計検討を実現します。

    省エネ量のリアルタイム表示サンプル

    負荷立上り時運転モードサンプル

  • 多様な熱源機器に対応可能

    インバータターボ冷凍機、定速ターボ冷凍機、ダブルバンドルターボ、ガス吸収式冷温水機、排熱投入型冷温水機、空冷チラー、温水ヒータ、蓄熱槽など多様な熱源機器を含むシステムを最適に制御します。

熱源シミュレータHSSsim

  • 熱源シミュレータ(HSSsim)は多様な熱源システムに対応可能なシミュレーションソフト
  • 「非線形数理計画法」による最適化計算機能を完備
  • 計画段階から熱源シミュレータを活用することで、さまざまな機器の構成や制御方式の詳細な事前検討が可能
  • 検討結果は最適制御用データとして整理し、熱源監視装置に保存し、制御に利用
    (熱源シミュレータは計画時のみ使用し、運用開始後の現場設備には使用しません。)

熱源監視装置

  • 熱源シミュレータによる検討で得られた最適制御用データを保持
  • 熱源最適制御装置から外気条件、運転状態などの計測値を受信
  • 受信した計測値と事前のシミュレーションで作成した最適制御データから最適運転条件を算出
  • 算出した最適運転条件を安全に制御へ反映
  • PLCから受信した計測値や、省エネ効果のトレンド表示など、熱源設備を監視
  • PLCは熱源制御装置から受信した測定値と最適制御データからその時点の最適設定値で熱源機器を制御

熱源最適制御装置

  • 外気条件、運転状態など収集した計測値を、熱源監視装置に送信
  • 熱源監視装置から最適設定値を受信し、熱源最適制御装置が制御
  • 熱源最適制御装置は汎用PLCを使用しているため、中央監視との親和性もよく、従来のシステムからのリニューアルも容易
計画
  1. 設計作業(熱源システム設計、制御内容検討)
    最適運転条件算定作業(事前に熱源シミュレータで最適制御用データ、比較用データを作成)
  2. 事前に最適制御データを検査ソフトで検証し実システムに適用
運転
  1. PLCで計測値を収集
  2. PLCで収集したデータを熱源監視パソコン(PC)へ送信
  3. 熱源監視パソコンの最適制御支援ソフトで最適制御用データから、計測値に応じた最適設定値をリアルタイムに演算
  4. 最適設定値を用い、PLCが熱源機器を制御
    (PLC単体で制御することで、既設設備との親和性と安定性を確保)
    • パソコンは直接機器の制御はしません。
  5. 必要に応じて蓄積した運転データをフィードバックし運転方法を改善
    • 運転方法改善、最適化精度向上に役立ちます。

導入効果

熱源最適制御システム採用の効果

  • シミュレーションに基づいて計画された設定値(最適制御用データ)による制御で、熱源システムの省エネ効果を最大化します。
  • ランニングコスト低減、CO2排出量削減に貢献します。

試算例

年間の冷熱源動力は、従来熱源制御を導入とした場合に対して
(当社比) 熱源最適制御システムI※1を導入した場合で80%に削減
(当社比) 熱源最適制御システムII※2を導入した場合で72%に削減

  • 1
    システムI:一次側の熱源機器に対して最適制御を行った場合
  • 2
    システムII:システムⅠに加えて、二次側冷水温度も含めた最適制御を行った場合

制御方式による熱源動力の比較(試算例)